堀場製作所のドイツ新工場が稼働

大気汚染測定装置の生産倍増へ

堀場製作所は、ドイツでの大気汚染測定器の生産体制を倍増する。建設中の新工場が完成した。1993年10月から本格生産を開始する。今後、西欧地域で大気汚染測定器の需要が増加する傾向にある。これに対応するのが狙い。また2年後の1995年に現地部品調達率を現行の60%から80%にまで引き上げる計画だ。

ライヒリンゲンに新工場を建設、移転

生産体制を強化したのは堀場製作所のドイツ子会社、ホリバ・ヨーロッパ(本社・スタインバッハ、綱本宏之社長)だ。1988年からランゲンフェルトで西欧向け大気汚染測定装置を生産していた。今回、近郊のライヒリンゲンに新工場を建設、移転することにした。

総工費200万マルク

1993年4月から、敷地面積2000平方メートルに2階建ての建屋(延べ床面積1000平方メートル)の建築に着手した。このほど完成した。総工費200万マルクを投じた。生産能力は月産20台と現在の2倍となる。これをテコに1995年に現行の800万マルクから1200万マルクに生産規模を高める。1993年9月27日にオープン、10月から本格稼働する。

現地部品調達率を60%から80%へ

また日本から輸入している分析計ユニットを、分析計ユニットの心臓部の分析部以外の部品を現地から調達し、現地部品調達率を60%から80%にする。

物質を測定する機運が高まる

堀場製作所は大気汚染測定器で西欧向けをドイツ、東欧向けをオーストリアでそれぞれ生産している。欧州全域で酸性雨など環境汚染状況を把握するため大気中の一酸化炭素、亜硫酸ガス、窒素酸化物といった物質を測定する機運が高まっているという。

堀場製作所がオーストラリアに現法。独工場の増強も

1991年9月

大気汚染測定装置で対欧攻勢

堀場製作所(社長大浦政弘氏)は大気汚染測定装置事業で対欧攻勢に出る。オーストリアに東欧圏をにらんだ現地法人を設立する。ドイツにある欧州統括会社の生産能力を増強し、西側ビジネスも積極展開する。

環境汚染問題による需要

これは、酸性雨による環境汚染問題を背景にして需要が一段と高まっているためだ。堀場製作所ではこれらの積極攻勢により、3年後には欧州の大気汚染測定装置市場でシェア50%の獲得を目指す。

ホリバ・ゲーエムベーハー

オーストリアの現地法人はウィーン郊外のトウルン市に本拠を置く「ホリバ・ゲーエムベーハー」。欧州統括会社であるドイツの「ホリバ・ヨーロッパ」(スタインバッハ市)の支店だった。今回、全額出資子会社に格上げして設立した。

生産能力を倍増

資本金は25万オーストリアシリング(約275万円)。従業員は11人だ。主に東欧圏向けの輸出製品を生産・販売する。一方、西側諸国をにらんだ製品は「ホリバ・ヨーロッパ」の本社工場とデュッセルドルフ市近くのランゲンフェルド工場の2カ所で生産している。両工場合わせた従業員は80人。需要増に対応してランゲンフェルド工場を約3億円を投じて増強、2年以内に生産能力を倍増する。

大気汚染測定装置

大気汚染測定装置は大気中の一酸化炭素、亜硫酸ガス、窒素酸化物やオゾンなどを調べる分析システム。数カ所の固定局からデータを中央で集中監視したり、トラックやバスなどに装置を搭載し、汚染具合を移動測定する。欧州では酸性雨による環境汚染問題が深刻化、大気汚染測定装置に対する関心が急速に高まりつつある。

トップシェアを狙う方針

堀場製作所では西ベルリンと東ベルリンに続いて最近、オーストリア政府からも15台の大型受注に成功するなど、最大手の米モニターラボ社とつばぜり合いをしている。欧州市場での大気汚染測定装置の年商は10億円(1990年12月期)だが、3年後には倍増し、トップシェアを狙う方針だ。