東大の小宮山宏総長と知の構造化センター(2007年8月)

東京大学に在籍する各分野の学者31人が研究内容を説いた『学問の扉 東京大学は挑戦する』(講談社)が刊行された。創立130周年記念事業の一環。受験生や大学に入学したばかりの学生を主な対象に、学問のだいご味を分かりやすく紹介している。 編集委員の一人、吉見俊哉情報学環長によると、本書は「のが進める学問の再構造化の一つ」という。小宮山総長の就任以来、東京大学では、細分化した学問を構造化知識研究によって再構成する「知の構造化センター」を設置したり、全学共通科目「学術俯瞰(ふかん)講義」を開講している。

「知の技法」から「学問の扉」へ

東京大学が出した分野横断型の入門書といえば、1994年のベストセラー『知の技法』が有名だ。教養学部のテキストだった『知の技法』と比べて、全学で作った本書は、執筆陣の層がより厚い。文系は長谷部恭男法学部教授や加藤陽子文学部准教授、田中純教養学部准教授ら、論壇・思想誌の常連が並ぶ。理系は準ノーベル賞級の学者を選んだといい、鈴木洋一郎宇宙線研究所長、香取秀俊工学部准教授らが執筆した。 『学問の扉』という表題はやや硬いが、こだわりがある。吉見学環長は「表層的な知識があふれる現状に、あえて学問の先端性と深さを伝えたい。その思いを込めました」と話している。

東京大学と信越化学が「知の構造化」共同研究(2009年3月)

信越化学工業は2009年度、東京大学と「汎化学に関する知の構造化」を目指した共同研究を行う。東京大学が進める、専門分化しながら生まれてくる多種多様な“知の構造化”に関する領域横断的な研究教育プロジェクトに連動したもので、具体的には、マクロからナノメートルスケールまでをつなぐ拡張ナノ空間の理工学や、各サイズで制御された構造を持つデバイス構築技術の確立を進める。研究の成果は、新たな健康診断システムや、高効率の太陽電池や燃料電池の要素技術としての活用が期待され、信越化学工業でも自社の事業に活用する。

太陽電池、燃料電池、ナノ化学など

「未来を拓く研究推進 信越化学プロジェクト~汎化学に関する知の構造化~」と題された今回の研究は、化学を基盤としてナノフォトニクス、MEMS/NEMS、マイクロ・ナノ化学、ナノバイオ、ナノインプリントなどの新しい科学と工学の発展・融合を促進し、新しい価値を創造する産業技術へと展開することがねらい。

構造化知識データベース

研究成果として例えば、MEMS/NEMS技術で作成したマイクロチップにマイクロ・ナノ化学の技術で化学反応の機構を構築する。ナノバイオ技術で特定のバイオマーカーを血清から検出する機能を与え、ナノフォトニクスを用いて超高感度に検出できるようにする。こうした構造化知識の手法やデータベースを導入することで、どこでも手軽に病気や健康状態を確認できる新しい技術と製品を創出することができる。

また、ナノテク分野でのナノインプリント技術への適用や、新エネルギー分野で寄与する高効率の太陽電池や燃料電池の要素技術としての活用なども期待される。

製造業の7割が製品事故防止マニュアル策定(2010年11月)

製造業100社から回答を得た製品安全についての調査によると、製品事故に備えたマニュアルを策定済みが70社、策定を計画中が18社に上ることが分かった。企業規模にかかわらず手がける製品の特性に合わせて組織的に安全の確保に取り組んでいることがうかがえる。一方で中堅・中小企業を中心に、約2割の企業が「安全な製品を開発・製造する人材が不足」など、専門人材の確保やコスト面で課題があると答えた。社内に用意したマニュアルなどの備えを生かし、製品安全対策を継続的に実施する仕組みが求められる。

機械、電機、輸送機器メーカーなどを調査

10月から11月上旬にかけて機械、電機、輸送機器メーカーなどを対象に調査を実施した。回答企業102社のうち製造業が100社で、内訳は従業員1000人以上と1000人未満が50社ずつ。多くの企業が製品安全を経営の重要課題と見なし、要求される安全水準の変化に応じた対策をとっている。

未然防止のために開発した安全技術

製品安全対策について回答企業はそれぞれ設計、製造、保守など各段階で安全性を確認する仕組みをつくっていた。製品の開発・設計段階について大企業では「公的な安全基準に加え、再発防止策や未然防止のために開発した安全技術を反映した独自の安全技術基準を制定」(シャープ)しているケースが多い。

堀場製作所は「開発段階では4段階のデザインレビュー」

安全な製品設計ができているかを確認する仕組みにも工夫をする。日産自動車は「社内エキスパートによるデザインレビューを実施し、潜在的危険要因を洗い出し、対策を講じている」という。堀場製作所は「開発段階では4段階のデザインレビューを行い、各部署の視点をもって製品を評価」している。

設計段階の重要保証項目を指定

製造段階の製品安全確保では、ブラザー工業は「開発設計時に製品安全にかかわる重要保証項目を指定し、工場で重点管理をするための仕組み」を導入した。製品の安全性を保つ上で大切な部分は、決められたとおりにつくるようしっかり管理する。

ソニーはデータ共有

事故情報の収集についても体制整備が進む。「市場で発生した製品事故については、全世界より速やかに経営者層に報告されるような仕組みを構築」(ソニー)するなど、社内の情報システムを活用し経営トップを含めてデータを共有するのが一般的だ。「収集した情報を次の製品開発に利用することで事故を未然に防ぎ、競争力のある製品を作り出せる」(森精機製作所)ととらえる企業もある。

社長が安全投資を判断

「安全投資に対する最終判断はだれが行うか」については59社が「社長」、25社が担当役員と回答した。投資の内容によって最終判断する人は異なる場合があり一概には言えないが、経営トップが責任を持って製品安全に対応するという意識の表れといえる。製品安全は企業にとって当然果たすべき責任であり、全社を挙げて取り組む課題だという考えが浸透していることをうかがわせた。

堀場エステックが熊本・鳥子工業団地に進出(1988年6月)

堀場エステック®が熊本(鳥子団地)進出。

建設ラッシュ。4社相次ぎ着工

テクノポリス推進に弾み

熊本県が造成したテクノポリス圏内初の内陸型「鳥子工業団地」(阿蘇郡西原村)で、進出企業の工場建設が本格化してきました。

4社が工場建設

これまで工場を完成したのは1社でしたが、最近、堀場エステック®など4社が工場建設を始め、残り進出企業も1、2年内に着工の予定。

未分譲の2区画も完売へ

未分譲の2区画についても熊本県では1988年内の完売を目指しており、ハイテク企業の進出と建設活発化でテクノポリス推進に弾みがつきそうです。

熊本空港から5キロ
臨空型

鳥子工業団地は、熊本空港から東へ約5キロに位置する臨空型の工業団地。

総面積25ヘクタール

1986年(昭和61年)秋に完成した総面積25ヘクタール、分譲面積は11区画の21ヘクタール。空港に近く、しかも1平方メートル当たり8千円程度と安いなど立地条件も良いため分譲は順調で、1年足らずで8社の進出が決まりました。

再春館製薬所

このうち再春館製薬所(熊本市、社長西川通子氏)は1987年10月、トップを切って工場を完成。延べ5125平方メートルの規模で、化粧品や医薬品などを生産しています。

生科研

最近着工したのは生科研(熊本市、社長中嶋止氏)。生科研は農業用の葉面散布剤、土壌改良剤、アミノ酸入り液肥やゴルフ場の芝用肥料などを生産していますが、本社工場の手狭解消と研究開発部門強化のため新工場「南阿蘇工園」の建設に踏み切りました。

社長堀場雅夫氏

また堀場エステック®(京都市、社長堀場雅夫氏)は、1988年9月完成を目指して第1期分の延べ1000平方メートルの工場を建設中。

ガス流体制御装置

1988年度の出荷額はガス流体制御装置など2億円を予定。

従業員100人の主力工場に

最終の3期工事が終わる1993年(平成5年)には従業員100人、年出荷額90億円の主力工場とします。

アートキャンディ

1993年9月に完成の予定は、装飾菓子メーカーのアートキャンディ(東京都、社長副島正義氏)。第1期工事として3億5千万円を投じて延べ1500百平方メートルの工場を建設します。1993年度は従業員150人で、2億5千万円の出荷を計画。第3期工事完了の1992年度(平成4年度)には従業員300人、年出荷額20億円の見込み。

谷藤機械工

さらに谷藤機械工業(社長黒沢常三郎氏)などが出資して現地に設立したインターナショナルケミカル(社長滝沢静治氏)は、第1期工事の延べ3000平方メートルの工場を建設中。1988年9月から果物緩衝用ネットを製造します。

東京カソード研究所

このほか進出を決めている東京カソード研究所(東京都、社長大久保幸正氏)は、早ければ1988年内に1600平方メートルの工場建設に着手、1989年春完成の予定。

共和

共和(大阪市、社長樋上孝之氏)も1、2年内に着工の方針で、1986年(昭和61年)に約2万1千平方メートルの用地を確保したリードエレクトロニクス(宇治市、社長金子健氏)も契約条件の3年以内には建設の計画です。

堀場エステックに関する動画

堀場エステックに関する動画です。

会社案内

堀場製作所の堀場厚会長

エステック®(Horiba-Stec®)アメリカ新工場が稼働(1996年7月)

堀場エステック®(Horiba-Stec®)のアメリカ・テキサス州オースチンの新工場稼働についてのニュース記事です。

 

テキサス州オースチン

堀場エステック®は、マスフローコントローラーで世界トップのシェアを持っており、アメリカでの需要急増に対応するため、現在あるサニーベール工場の約3倍のクリーンルームを持つテキサス州のオースチン工場を開設します。

半導体向け流体制御機器を増産

これにより、アメリカの2工場で月産3千台の生産が可能となり、米国での流体制御機器の生産能力は現在の4倍以上となります。

クリーンルーム

新工場には、ギガビットクラスの半導体にも対応できるクリーンルームを設け、生産用だけでなくメンテナンスサービス用も併設します。

英ノーサンプトンにもサービスセンター

堀場エステック®はアメリカのほか、韓国、台湾にもサービス拠点をもちますが、1996年秋には欧州のサービス体制確立のため、英ノーサンプトンにもサービスセンターを開設する計画です。

Horiba-Stecが米VBと独占契約(2003年4月)

真空分析装置を販売

サフェラン サイエンティフィック社(カリフォルニア州)

流体制御機器メーカーの堀場エステック®(社長・堀場厚氏、京都市南区)は、米ベンチャー企業のサフェラン サイエンティフィック社(カリフォルニア州)が所有する真空分析装置について、独占販売契約をサフェラン サイエンティフィック社と結びました。フェラン社が製造する残留ガス分析計(RGA)と静電容量型ダイヤグラム真空計(CDG)の2製品で世界市場の独占販売権、CDGは独占製造権も得て、2003年5月から事業を本格展開します。

RGAとCDG

半導体分野では近年、ウエハーサイズの大口径化、高密度化、微細化に対応して、流体計測・制御の高精度化と残留ガス計測が重要性を増しています。RGAは検出部が従来製品の10分の1と世界最小クラスで、CDGは従来の2分の1のスペースで設置可能といった特徴があります。

世界市場の30-40%のシェア

エステック®は流体制御機器で世界市場の30-40%のシェアを持つトップメーカー。2機種で2003年度7億円、3年後には30億-35億円の売上げを見込み、流体機器全体の事業拡大に弾みをつける考えです。

Horiba-Stecが米VBと独占契約(2003年4月)

真空分析装置を販売

サフェラン サイエンティフィック社(カリフォルニア州)

流体制御機器メーカーの堀場エステック®(社長・堀場厚氏、京都市南区)は、米ベンチャー企業のサフェラン サイエンティフィック社(カリフォルニア州)が所有する真空分析装置について、独占販売契約をサフェラン サイエンティフィック社と結びました。フェラン社が製造する残留ガス分析計(RGA)と静電容量型ダイヤグラム真空計(CDG)の2製品で世界市場の独占販売権、CDGは独占製造権も得て、2003年5月から事業を本格展開します。

RGAとCDG

半導体分野では近年、ウエハーサイズの大口径化、高密度化、微細化に対応して、流体計測・制御の高精度化と残留ガス計測が重要性を増しています。RGAは検出部が従来製品の10分の1と世界最小クラスで、CDGは従来の2分の1のスペースで設置可能といった特徴があります。

世界市場の30-40%のシェア

エステック®は流体制御機器で世界市場の30-40%のシェアを持つトップメーカー。2機種で2003年度7億円、3年後には30億-35億円の売上げを見込み、流体機器全体の事業拡大に弾みをつける考えです。

構造化知識技術の手法

「ロジックツリー」「マトリックス」、「サーキット構造図」

構造化知識技術の具体的な手法として「ロジックツリー」「マトリックス」、「サーキット構造図」がある。 これらは構造化手法の代表的かつ基本的な手法だ。まずはこれらをマスターした上で、複数の手法を組み合わせたり、自分でアレンジして独自の方法を確立するのが効果的である。

ブレスト

1人で考えているときは何も思いつかなかったのに、誰かと一緒に考えてみたら、なぜかいいアイデアが出てきた。そんな経験はないだろうか?人はそれぞれ違う知識・経験・立場を持っているため、1人より2人、2人より3人で一緒に考える方が発想が広がることが多い。それを意識的かつ積極的に行う手法が「ブレーンストーミング」(ブレスト)だ。

分類や関連づけ

ブレストは発想を広げることを目標としているが、人間の発想はひたすら広げようとしても限界に突き当たる。その限界を超えるためには、逆に「収束」する手順を加えた方が有効な場合がある。例えば、様々なアイデアが出尽くしたところで、分類や関連づけなどの構造化を行うのだ。その作業が刺激となり、新たなアイデアが生まれることがある。

KJ法

そうした「収束」による発想を方法論化したのが「KJ法」だ。KJ法は、文化人類学者の川喜田二郎氏が1960年代に考案した手法で、もともとはフィールドワークで収集した膨大なデータを整理し、それらのデータから背後にある意味を見出したり、仮説を生み出すために用いられた。1960年代から1970年代にかけて学問の世界を飛び出し、ビジネスパーソンの間で一躍ブームとなったので、40歳代以上の方には比較的なじみのある手法だろう。

21世紀の大学像と「構造化知識研究」

1998年10月

21世紀の大学像を議論している文相の諮問機関、大学審議会(会長・石川忠雄慶応大名誉教授)は1998年10月26日、厳格な成績評価など学部教育の見直し、社会人を対象とした高度専門職業人の養成に絞った大学院の設置促進などを盛り込んだ答申を有馬朗人文相に提出した。3年以上4年未満で学部卒業を認める例外措置の導入のほか、国立大学の教育・研究を評価する第三者評価機関の設置などを提言している。戦後、新制大学が発足して以来、最大の制度改革と位置付けられ、文部省は答申を受け、学校教育法などの見直しに着手。単位認定の厳格評価などは、早ければ2000年度の入学者から適用される。

審議会が「知の再構築」答申。高度専門職業人

答申は、21世紀について、多様で新しい価値観が必要となる「知の再構築」が求められる時代と定義。そのうえで大学改革の基本理念を示した。

学部教育のあり方としては、学生の課題探求能力の育成や教養教育を重視するとともに、研究重視から教育重視への転換を求めた。そのうえで、「レジャーランド化」の批判を払しょくするために(1)教官の責任ある授業運営(2)厳格な成績評価(3)単位の過剰登録を防ぐため、履修科目の登録単位数の上限設定--などを求めた。

養成大学院も

大学院については、高度専門職業人の養成に絞った実践的教育を行う修士課程の設置促進を要請。具体的には経営管理、法律実務、財政・金融、公共政策などの分野を挙げた。

単位の認定厳しく 3年で卒業OK

また、研究、教育システムの柔構造化を進める観点から、3年以上4年未満で学部を卒業できる例外措置の導入、秋季入学の拡大、半期ごとに単位を認定するセメスター制の推進も提言している。

研究評価の機関設置

さらに、答申は改革の質を高めるために、国立大学を主な対象にして、第三者機関による透明性の高い評価システムの導入を提言。こうした外部評価を参考にして、補助金など予算を重点配分する必要があるとしている。

また、いわゆる「学部自治」が、改革の支障になっているとして、学長がリーダーシップを発揮するために、外部有識者で構成され、学長に助言、勧告する大学運営協議会(仮称)を国立大学に設置することを提言した。

答申の骨子

  • 1年あるいは1学期に学生が単位履修登録できる上限枠を各大学で設置する
  • 高度な専門的知識、能力を専門に養成する大学院修士課程を設置する
  • 厳格な成績評価を前提に例外的措置として、大学在学3年以上での卒業を認めるよう法改正する
  • 大学院に2年未満で修了できるコースや長期在学コースを設ける
  • 学長を中心とする執行機関、評議会、教授会の役割、権限を明確化する
  • 外部有識者の意見を聞くため、大学運営協議会(仮称)を設ける
  • 客観的な評価のため、第三者評価機関を設置。客観的評価により(補助金など)資源を有効に再配分する

日立の生産履歴の追跡(2004年)

日立製作所の情報・通信グループでは、現在、トレーサビリティー・システムを構築中だ。製品ライフサイクル全般にわたり、個々の製品の履歴情報を一元管理する「Eco&PLMソリューション」を開発。まずは大型RAID装置向けに導入し、2005年1月から試験運用する予定だ。その後、サーバーや大型ディスプレイ装置などに横展開していく。

環境規制

このようなシステムを構築する背景には、年々強化される環境規制がある。2006年7月に施行が予定されているRoHS指令をはじめ、環境規制は国際的に広がりを見せている。

トレーサビリティー・システム

これらの環境規制に対して、メーカーとしては規制を守るのはもちろんだが、万が一規制に触れてしまった場合も、その改善を迅速に進めなくてはならない。また、規制を守っている証しを情報として蓄え、情報公開要求に正確に応えていく必要もある。いずれの場合も、トレーサビリティー・システムは有効な武器になる。

対象製品をすぐに回収

例えば、使用が禁止されている有害化学物質が、出荷後に製品に含まれていることが判明した場合、対象製品をすぐに回収しなくてはならない。トレーサビリティー・システムを構築していれば、そうした対応が容易だ。

顧客が求める安全性

また、ある民間団体から特定物質の削減状況の報告要望があれば、過去にさかのぼって調査して提供すべき。「顧客が求める安全性に対して誠実に対応しなくては、顧客に認められるメーカーにはなれない」(日立製作所情報・通信グループCIO兼ユビキタスプラットフォームグループ)のだ。今後、どのような環境規制が施行されるかは分からないが、トレーサビリティー・システムを構築しておけば、それらに柔軟に対応できるといえる。